トップページに戻る 「巨樹・古木・珍木」へ戻る 最終更新 2002/05/06
天然記念物 念仏の松
念仏の松は、古来より出羽三山参詣の道者達が新庄峠越えを通り、この松の下で霊峰月山を仰ぎみて念仏を唱えたということから名づけられたものである。最上町から新庄へぬける道は、舟形回り、新庄峠越え、亀割峠越え、内山通りであった。舟形回りは、公的な道として利用されたが城下まで最も遠かった。又亀割峠越えは、新庄まで最も近い道であるが、亀割山を直線的に登り下りする峻険な山道であった。これらの中で新庄峠越えは、新庄鳥越村休場へぬける道であって往来が最も頻繁だったといわれる。この道には茶屋もあり、藩主のお成り道でもあった。念仏の松は、この道の側にある。然し嘉永三年(一、八五〇)瀬見村佐藤重大夫によって、新庄峠越えの開削大改修が行われた際に路線を変更し、この松の側を通らなくなった。かつて道者たちは、旧新庄越えを通り新庄へ出て、本合海より最上川を下り、古口を経て角川口より出羽三山へ登拝した。念仏の松は、幹廻り四メートル樹高約二〇メートル、樹令約五百年経たであろう小国川の絶景に立ち今尚往時の姿をとどめている。
撰文 溝口 仁
舟形町教育委員会